句会 アマチュール 

句会アマチュールと言う俳句の会が冨川元文さん(脚本家)主宰で発足しました。
その折りにお誘いが有りましたので参加させて頂く事になりました。
俳句は全く作った事もありませんでしたが「皆さん素人ですから楽しくやって下さい」と背中を押されたような気がしました。
新しい挑戦を試みてみようか。と思っている時にサミュエルウルマンの「青春とは心の若さである。
年を重ねただけでは人は老いない」と言う句が浮かんできました。
そして第一回句会はLINEでビデオリモートですると言うのですが全て初体験です。
友人の力を借りて何とか当日を迎えましたが何とかついていくことができました。
(我が家のサルスベリ)

句会ママチュール

 第12回アマチュール句会 案内

日時 2021・9月19日 日曜 15時から

 《兼題》」……自由旋律の句 あるいは無季の句……一句

要は好きなように、形式にとらわれないで作ってみよう

   季語はあってもなくても、でも9月の句を

《当季雑詠》 ……二句

  兼題の参考に

無季俳句と自由律俳句について

   有季定型、季語を入れた五・七・五音の俳句に固執することに疑問を抱き、季語の無い無季俳句を詠む作者や、五・七・五の定型にもこだわらない自由律   俳句を詠む作者も多い
   無季・自由律の名句を鑑賞してみましょう。

無季の句

  戦争が廊下の奥に立つてゐた (渡辺白泉

  広島や卵食ふ時口開く (西東三鬼)

  海に降る雨や戀しきうき身宿  (松尾芭蕉)

  亡き母や海見る度に見る度に (小林一茶)

 自由旋律の句

  分け入つても分け入つても青い山 (種田山頭火)
  酔うてこほろぎと寝てゐたよ (種田山頭火)
  父によう似た声が出てくる旅はかなしい (種田山頭火)
  咳がやまない背中をたたく手がない (種田山頭火)

  こんなよい月を一人で見て寝る (尾崎放哉)

  心をまとめる鉛筆をとがらす (尾崎放哉)
  淋しいぞ一人五本のゆびを開いて見る (尾崎放哉)
  いれものがない両手で受ける (尾崎放哉)
 

    《当季雑詠》 ……二句

  俳句一口メモ

プレバトの夏井いつきオバサンのコメントから

「俳句は“季語から作る”、と思い込んでいる人が多いです。だからおうちで俳句を作ろうとしても、『家の中には季語がないから作れない』と壁にぶつかるわけですよ。おうちにあるのは、“俳句のタネ”。そう考えれば、家じゅうのモノで俳句を作れるはずです」

「もうひとつ、俳号(俳人としてのペンネーム)を決めてみてください。俳句には、作り手の名前を添えるのが基本。本名より俳号を添えたほうが、『下手』って言われたときの傷が浅いの(笑)」

夏井オバサンの句

 *いろいろと、マイナスの評判もある人ですが、俳人の類の中ではまともだと思います。

今回の参加者11名
兼題
 「自由旋律」
(1)ランドマークきらめく舞台夜半(よわ)の秋 まっち
(2)感染にテレビ観戦ゆるむ汗腺 

(3)マスクといふとれない仮面地球人  
みなみ   
(4)台風テレワーク部長稲妻止ます子らの笑い 
ケイタ
(5)手のひらのセカイはまるでイリュージョン 
高橋
(6)朝夕の涼しける日々に秋の足音
 佐々木
(7)老いても老いても夢老いず 
紀州人(優秀)
(8)新茶売るはんなりと京ことば
 夏目
(9)風邪ひいていっぴきぽっちの金魚に見つめられている 
吉野
(10)老いてもういいかとつぶやく  
谷口
(11)感染症神よ何をか謀(たばか)りぬ  
金時娘

当季雑詠

(12)秋風がめくる平時へ一ページ 吉野 
(13)とおせんぼ去り行く夏と淡き恋  

(14)紅(くれない)に身をあずけたし曼珠沙華  
まっち
(15)豊年の想い刈り取る宴かな  
ケイタ
(16)秋桜(あきさくら)歌のヒットでコスモスに  
佐々木
(17)ぶら下がりやがては落つる瓢(ふくべ)かな 
金時娘
(18)薄明の夏惜しむ声天と地と 
夏目
(19)帰り道せかす日暮れの冷ややかさ  
高橋
(20)富有柿茶粥に添える妣(はは)の朝   
紀州人(優秀)
(21)金木犀遥か都の哀しさや  谷口
(22)久方におとなふ家や金木犀  
みなみ
(23)香炉焚き色なき風に友悼む  
 夏目 (優秀)
(24)グラウンド追う背も無くて風の色
ケイタ
(25)暗やみに木犀の香彼の君へ 
まっち
(26)すれ違ふ母との会話桐一葉 
 林 (最優秀)
(27)名月や銘酒酌み交わす逝きし人  
紀州人
(28)幾とせに生命をつなぐ落穂とり  
谷口
(29)縁に座し酒のつまみは秋の声 
佐々木
(30)さよならを言ひかねているあきつかな 
吉野  
(31)こころ凪ぎ増して大きく月明り  
金時娘
(32)自由といふ不自由思ふ雨月かな   
みなみ 
(33)移ろうてメランコリーに走り蕎麦
 高橋

言葉案内

      ⑰ 瓢(ふくべ)瓢箪 秋の季語

      ⑳ 妣は(亡き母)の俳句用語です。妣とは、亡きという意味の漢字である。対義(亡き父)。
㉒ おとなふ 【音なふ、訪ふ】
㉓㉔ 風の色 色なき風 三秋の天文季語で「風の色」秋に白を配する陰陽五行説に由来する色なき風……、秋風の寂寥感を表す。
㉜ 雨月(うげつ)とは。 名月が雨で見られないこと。雨名月。雨の月。《季 秋》
㉝ 走り蕎麦. まだじゅうぶん実が熟さない少し青みをおびている ソバを早めに刈りとって、産手打ちそばなどにして出すもの. 季節 秋

後期:まっち
今回の兼題は冨川先生出題の「自由旋律」でした。私は「ランドマークきらめく舞台夜半(よわ)の秋」孫の美樹とランドマークのホテル59階に泊まり二人で夜景を見て浮かんだ句でした。当季雑詠は「紅(くれない)に身をあずけたし曼珠沙華」と「暗やみに木犀(モクセイ)の香彼の君へ」を投句しました。いずれもコロナ禍で会えない心の叫びを詠みましたが・・・今回は12回目です。1年が経ちました。何となく俳句がわかり始めたような気がします。リモートで映像と会話が一致して出来たのは初めてでしたので嬉しかった!毎回勉強させていただいて皆さんに感謝です。1時間20分の楽しい句会を有り難うございました。

写真は曼珠沙華とみなとみらいの夜 景です。





句会ママチュール

 第11回アマチュール句会 選句結果

日時 2021・8月22日 日曜 15時から

 《兼題》」……方言……(夏田さん提案) ……一句

  方言、俚言、訛り ○○弁、実施の方言でもよいことにします。

方言を入れ込んだ句を兼題句とします。

でら、面白い俳句、作ったってちょう。

ええ俳句をぎょうさん作っておくれやす

《当季雑詠》 ……二句

今期の俳句豆知識

無季俳句と自由律俳句について

有季定型、季語を入れた五・七・五音の俳句に固執することに疑問を抱き、季語の無い無季俳句を詠む作者や、五・七・五の定型にもこだわらない自由律俳句を詠む作者も多い

無季・自由律の名句を鑑賞してみましょう。

無季の句

  戦争が廊下の奥に立つてゐた (渡辺白泉)

  広島や卵食ふ時口開く (西東三鬼)

  海に降る雨や戀しきうき身宿  (松尾芭蕉)

  亡き母や海見る度に見る度に (小林一茶)

 自由旋律の句

  分け入つても分け入つても青い山 (種田山頭火)
  酔うてこほろぎと寝てゐたよ (種田山頭火)
  父によう似た声が出てくる旅はかなしい (種田山頭火)
  咳がやまない背中をたたく手がない (種田山頭火)

  こんなよい月を一人で見て寝る (尾崎放哉)

  心をまとめる鉛筆をとがらす (尾崎放哉)
  淋しいぞ一人五本のゆびを開いて見る (尾崎放哉)
  いれものがない両手で受ける (尾崎放哉)

今回の参加者10名
兼題 「方言

(1)朝顔が訛りで話す夏の夢 ケイタ
(2)久方に訛り飛びかう盆の月
佐々木
(3)「お静かに」メール終わりの金沢弁
 吉野   
(4)おまんとうちょっくらよれし盆踊り 
まっち
(5)夏高野空海はんと豆腐食べよし
紀州人
(6)世界中どえりゃあことよ秋暑かな
みなみ
(7)やっとかめ夏雲の下故郷(クニ)訛り 
金時娘
(8)お中元お礼の電話に聞く訛り

(9)野良仕事あんべーのよい盆東風(ぼんごち)や 
高橋(優秀)
(10)稚内あずましいかなあいの風  
谷口
(11)方言を丸出しにして夏手袋  
橋閒石

当季雑詠

(12)頬染めて一杯いかがと酔芙蓉  まっち
(13)盲導犬主と聞き入る蝉の声  

(14)法師蝉命儚し夢多し  
紀州人
(15)初秋のひとり散歩に慣れにけり  
みなみ
(16)さぼりたるリハビリ道に秋けはい  
吉野
(17)ぽつねんと郷愁誘う(いざなう)送南風(おくれまじ) 
高橋
(18)町中に少し入りこみ盆の寺 
虚子
(19)蝉時雨止んだしじまに虫の声  
谷口(優秀)
(20)送り火が燃えぬ不安と世迷い言  
 ケイタ
(21)二度三度突ついて落とすゴーヤかな  みなみ
(22)老いらくの濡れてみたさの喜雨の中  
金時娘(最優秀)
(23)宝塚DVDみながら夜食なり   
佐々木
(24)ゲロゲーロいつのまにまにころころと
高橋
(25)村雨や浴衣の裾に濡れ紋様  
谷口
(26)地球儀が歪んで流れる天の川  
金時娘
(27)五輪の夏コロナに豪雨悲喜交々  
紀州人
(28)コトバなどなかった時代の星月夜  
ケイタ
(29)天の川語りつがれしロマンかな 
佐々木
(30)電柱の細き日陰に待つ信号 
 林
(31)割り箸の脚定まらず茄子の馬  
まっち(最優秀)
(32)秋近し空にもこもこひつじ雲   
吉野 
(33)どつしりと尻を据えたる南瓜かな 
漱石

言葉案内

②盆の月……(ぼんのつき)盂蘭盆(うらぼん)にあたる陰暦7月15日の月

④おまんとう……甲州弁「あなたたちは」というの意味。「おまん」が「お前」や「あなた」「君」の意味で、「とう」が「たち」の意味を表します。

⑥どえりゃあ……名古屋弁……大変にどがついてものすごく大変

⑦やっとかめ……名古屋弁 久しぶり 八十日目ぶり

⑨盆北風……初秋の季語。盂蘭盆の頃に吹く東風。秋とはいってもまだ残暑厳しい 秋への季節の移りを感じさせる。

⑩あずましい……北海道ではゆったりしていて余裕があり、落ち着けることを「あずましい」と表現します。 落ち着かないときや、余裕のない場合は「あずましくない」と否定形が使われる

⑩あいの風……東風のこと。おもに、越(こし)地方(現在の福井県から新潟県に至る)で言った。あゆのかぜ。《季・夏》

⑰送南風(おくれまじ)……夏 > 夏の風 > 送南風 おくれまじ 送南風 「おくりまぜ」とも言う。陰暦7月に盆の精霊(しょうりょう)を見送ってから吹く南風

㉒喜雨(きう) 晩夏 季語 雨喜び  夏の土用の頃、日照りが長く続いて旱ばつ状態となっている時にようやく降る恵みの雨のこと。

㉓夜食……三秋の季語…夜食とる/夜食喰ふ/夜食粥

㉘村雨……強く降ってすぐ止む雨。「群れた雨」の意味であり、群雨、叢雨とも書く。同義・類義の語に、にわか雨、通り雨、驟雨(しゅうう)、白雨(はくう)、繁雨(しばあめ)。

㉛茄子の馬 初秋の季語 


後記まっち
今回の兼題は夏田さん提案の方言でした。私は勿論甲州弁で詠みたいと。これがなかなか難しく文字が多くなり苦労しました。山梨の友人に相談したりしました。酔芙蓉の句は毎年この花が咲くのを楽しみにしています。朝白く夕方にピンクに染まるので色気を感じるのです。本当は「八十路でも恋に狂いたし酔芙蓉」と詠みたかった!来年花の下で再挑戦です。茄子の馬の句は盆飾りをして即浮かんできました。夏田さんがお休みになり残念でたまりませんでした。冨川先生、皆様方有り難うございました。次回を楽しみにしています。1時間20分の楽しい句会でした。 
      写真は芙蓉の花。白とピンクです

 

 


第10回 アマチュウール句会 2021年7月25日 15時~実施しました。

 《兼題》……薔薇 

  この季語を使った句を一句

《当季雑詠》 ……二句

《選句》…天の句を一句(2点)プラス四句(1点)、全部で五句選んでください。

  自作はマナーとして、選ばない。たとえ、自作が一番だと思っても、他作句を選びます。

今期の俳句豆知識

 俳句は、五七五という十七の音でできています。 この短い中で感動を強めたり、余韻を残したりするなどの効果として、
「切れ字」という表現技法があります。

それは、「切れ・切れ字」です。いうならば、俳句の句読点です。

◇現代切れ字 十八字(推奨)
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ

◇切れ字の代表格 ~や・かな・けり~ 
  数多くある切れ字の中でも、「や」「かな」「けり」の三語は、特に強く詠嘆の 

意が込められる切れ字の代表格と言えます。

 対岸の歩幅に合はせ青き踏み 

対岸の歩幅に合はせ青き踏む 

 引き出しの石握りしめ春を待ち

  春待つや引き出しの石握りしめ 

 次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。
  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)
また、次の名句は、いずれも
名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 
  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

今回の参加者11名 
兼題 「薔薇」

(1)
里帰り振り返るキミ白薔薇か ケイタ
(2)
赤バラに吾子の誕生花束で まっち
(3)茨道心の支え青き薔薇 
紀州人 
(4)誰ぞ住む薔薇の垣根の窓の影
 林(最優秀)
(5)白い薔薇5本を束ねて墓参り
金時娘
(6)ばらばらと花びら散りし赤い薔薇
高橋
(7)薔薇香るプリンセスの名冠せられ
吉野
(8)薔薇萌ゆる激しき事の予感あり
夏田
(9)夕風や白薔薇の花皆動く 
正岡子規
(10)夏の日に香(かぐわ)しき薔薇咲き乱れ
佐々木
(11)棘ありや咲き誇る薔薇西洋館  
谷口
(12)庭の礼薔薇の名メモに記しけり
みなみ


当季雑詠

みなみ
(13)大輪咲く花火の空地を揺らす
 まっち
(14)できぬ帰省会いたい見たい人と場所  
紀州人
(15)夏の宵逢魔が時に惑わされ  
佐々木
(16)白雨や茹だる暑さに涼風を
 高橋
(17)蚊柱に後退りする路地の奥 

(18)夕立やせわしき町を洗い去り 
夏田
(19)三浦屋は蛸を食べろと半夏かな  
みなみ
(20)観たかった夏期五輪より徒競走   
ケイタ
(21)鬱々と夜中のラヂオ蟇(ガマガエル)
谷口
(22)道迷い出口を探す道をしへ  
高橋
(23)星の砂小瓶につめた淡き恋   
吉野
(24)生き返る彼の人の匂い熱帯夜  金時娘
(25)夕涼み緊急車両に手を振る子  

(26)落雷の閃光走りプレイ止め  
まっち
(27)朝顔の色とりどりに彼方あり  谷口
(優秀)
(28)名古屋場所ポーズ悲しき横綱よ  
ケイタ
(29)泡立ちて恋のはじめのソーダ水 
吉野
(30)祭りやめ星なき夜空花火待つ  
紀州人
(31)軽やかに江戸川渡る風鈴屋  
夏田(優秀)
(32)暮れなずむビルの谷間に秋近し
佐々木 
(33)降雨帯居すわる町や大祓 
みなみ
(34)羯諦羯諦蠅取り紙に菩提薩婆訶  金時娘(優秀)

補足

(3)「青き薔薇」の花言葉は(願いかなう)です。

(5)花言葉 白色「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」5本「あなたに出会えた事の心からの喜び」

(12) 庭の礼   客が帰る時、庭まで送って出ること。薔薇の名メモに記しけり

(16) 白雨 夕立ともいい,夏の夕方など急に空が曇ってざあざあ降り出すしゅう雨。 

(19) 半夏…… 植物、 烏柄杓 (からすびしゃく) の漢名。 漢方、根を乾燥させたものをもいい、嘔吐 (おうと) 止め、咳 (せき) 止め、解熱または脚気 (かっけ) 、

(33) 大祓 夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」という神事、古代から日本人が大切にしてきた穢れを祓う神事。

(34) 羯諦羯諦(ぎゃていぎゃてい) 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶(ぼじそわか) 般若心経の最後でマントラ(呪文) 

後記:まっち
今回の兼題は「薔薇」でした。薔薇への思いは色々ありますが、今回は初めての我が子の誕生に、この子の将来に願いを込めて赤い薔薇の花束を贈りました事を詠みました。「赤バラに吾子の誕生花束で」。「大輪咲く花火の空地を揺らす」これは新潟県長岡市の花火大会を詠みました。街中煙と轟音で初めて見た我が子達は泣きました。楽しい思い出です。「落雷の閃光走りプレイ止め」はゴルフ大好きな友人に一句贈りました。今日は勉強になる事が多々あり、次回に頑張ろう!と思いました。冨川先生、皆様方有り難うございました。1時間30分の句会でした。     (写真は山下公園の薔薇です)


第9回 アマチュウール句会 2021年6月20日 15時~実施しました。

<兼題>・・・蛍・蛍狩り・・・

俳句豆知識

なぜ俳句は「有季定型」なのか?

俳句は季語を入れて、五・七・五音で作るのが原則です。この原則を「有季定型」と言います。季語が有り、五・七・五音の定まった型をしている詩こそが、俳句であるというわけです。
では、なぜ、俳句は有季定型で作られるようになったのでしょうか?
これを理解していただくために、簡単に俳句のルーツを知っていただきたいと思います。
■ 
俳諧の連歌(はいかいのれんが)
俳句の祖先は室町時代末期から江戸時代にかけて行われていた「俳諧の連歌」です。
俳諧は元来、たわむれ、おどけの意を表す言葉で、俳諧の連歌とは、「従来の連歌のように格式張らず、世俗的な言葉も使って楽しむ連歌」でありました。
松尾芭蕉も、与謝蕪村も、小林一茶も、俳諧の連歌を生業とする俳諧師でありました。
だから、彼らを、すぐれた「俳句」を作った人と形容するのは、本当は正確さに欠くのです。

さて、この俳諧の連歌とは、次のような遊びでした。
まず、誰かが五・七・五音の句(長句)を詠みます。
この第一句目を発句(ほっく)と言います。
この発句を踏まえて、別のだれかが七・七音の句(短句)を付けます。
この第二句目を脇と言います。
次にこの脇に付く長句を、誰かが第三句目として詠みます。
このように長句と短句を交互に詠んでいき、三十六句目まで続けます。
これが俳諧の連歌です。
そして最後の三十六句目は、挙句(あげく)と言います。
今でもよく用いられる「挙げ句の果て」という慣用句は、ここから来ています。
この俳諧の連歌には、いくつか決まりごとがあったのですが、一番最初に詠まれる発
句には、時候の挨拶がわりにその時々の季語を入れるのが習いでした 。つまり、この季語を入れて詠んだ「俳諧の連歌の発句」が、現代の俳句の直接の祖先です

芭蕉も蕪村も一茶も、俳諧の連歌を楽しむ中で、この発句作りには特に力を入れていました。
俳諧の連歌から俳句へ
明治時代、「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」の名句で知られる正岡子規は、複数人で行
う俳諧の連歌を否定しました。そして、季語を入れ五・七・五音で 詠む従来の「俳諧の連歌の発句」を、新たに「俳句」として一人立ちさせ、個人で創作できる文芸へと変えることに成功しました。
ここに、有季定型で作る「俳句」が誕生したわけです。
俳句が有季定型で作られるようになったのには、このような歴史的背景があるのです。

今回の参加者11名 
兼題 「蛍」

(1)
姫ボタルたしかに見たといふことに 吉野
(2)
蛍籠はかなき命闇しずか まっち
(3)声潜め夜更けの電話蛍舞ふ  
(4)ふるさとを忘れし頃に点く蛍 ケイタ(優秀)
(5)亡き人が息するごとく蛍の火 金時娘

(6)過ぎ去りし蛍の記憶灯がともる
谷口

(7)そわそわと闇路にひとり蛍の火 高橋
(8)蛍追ひそのまま兄は帰らずに
みなみ
(9)蛍狩りはしゃぐ子らたち顔しかめ 
佐々木
(10)蛍袋声密やかに正義語る
紀州人
(11)蛍追う揃いの浴衣と下駄の音  
夏田(優秀)


当季雑詠
(12)
夏場所や廻し色いろぶつかりぬみなみ
(13)のんびりと人続きゆく花菖蒲
夏田
(14)道の端ビーズ光るや蜘蛛の巣に
まっち
(15)千鳥足先導するは雨蛙  
佐々木
(16)可惜夜(あたらよ)に薔薇の香りとひとり酒
(最優秀)
(17)家人去りさびしき庭に枇杷たわわ 
吉野
(18)晴れた日もおごらず清き額の花 
ケイタ
(19)街暗し人流絶たれ梅雨の闇
高橋
(20)来ぬ人に愛でてと飾る手毬花   
谷口
(21)夏椿潔きかな一日花 紀州人
(22)今もなお君への想いさくらんぼ
ケイタ(優秀)
(23)だだくさにものぐさに出る梅雨の月
金時娘(優秀)
(24)塀越しやあぢさゐ寺の濃紫陽花
みなみ
(25)パナマ帽粋に被れば若しという
夏田
(26)さくらんぼジンに浮かべてバー気分 
吉野
(27)水田に夜露ひかりし蛙とび 
まっち
(28)てのひらにふるさとの梅父の味  
紀州人
(29)替衣一年(ひととせ)毎に老いを知る 
金時娘(最優秀)
(30)梅雨の山一降りごとに萌えたちて
佐々木
(31)安全と五輪の御旗に薬降る  
高橋
(32)紫陽花と相合傘で写る君  

(33)妻の病む久しく鳴かぬ雨蛙    
谷口


補足

▽可惜夜(あたらよ)……「可惜夜」の意味は明けてしまうのが惜しい夜のこと。

▽蛍袋  ホタルブクロ(蛍袋)はキキョウ科ホタルブクロ属で、仲間が多い植物です。花言葉に、正義、忠義など

▽夏椿 沙羅はツバキ科の落葉高木で、別名夏椿。六~七月、直径五~六センチの椿に似た白色の五弁花を開く。朝に開花し、夕方には落花する一日花である。

▽だだくさ……名古屋の方言……ぞんざいにする、だらしなくすること

▽ものぐさ【物臭/×懶】 《古くは「ものくさ」》めんどうがること。

▽額の花……紫陽花の一種だが、花は毬状にならず 平に咲く 額紫陽花のこと、日本のもの、花言葉は紫陽花の「移り気」「高慢」とは違い「謙虚」


  第十回アマチュール句会ご案内

日時 2021・7月25日(日) 15時から2時間ほど

 《兼題》」……『薔薇』 林さんのお題です

《当季雑詠》 ……二句

《投句は前日までに冨川まで》

《選句》…天の句を一句(2点)プラス四句(1点)、全部で五句選んでください。

  自作はマナーとして、選ばない。たとえ、自作が一番だと思っても、他作句を選びます。

後記:まっち
今回の兼題は「蛍」でした。蛍で思い出すのは昭和35年頃までは、夕方になると蛍をとって籠に入れ夜を楽しんだり、蚊帳の中へ放していっしょに寝たものです。蛍の俳句を詠む機会がありラッキーでした。もう蛍を知らない世代になりました。当季雑詠は梅雨の季節です。早朝歩いていると露の玉が気になり、あれやこれやと考えて出来た俳句でした。それから⑯を天に入れましたが男性の俳句かと思いきや林さんでびっくり。作者の思いを聞くと全然違ったりして勉強になりました。次回に向けて励みたいと思います。冨川先生、皆様方有り難うございました。1時間30分が瞬く間にすぎました


(鎌倉長谷寺の紫陽花 ダンスパーティー





第8回 アマチュウール句会 2021年5月30日 15時~実施しました。

<兼題>・・・山・・・

一口コメント 
俳句の つきすぎ はなれすぎ

俳句を始め、句会に参加するようになると、「この句はつきすぎですね」とか、「この句ははなれすぎですね」などという言葉を耳にするようになります
あるいは「俳句はつかず、はなれずで」などというアドバイスを受けるようになります。
つきすぎ(即き過ぎ)とは、季語と別の言葉との取り合わせが、誰でも思いつきそうな在り来たりなものであるという意味です。
はなれすぎ(離れ過ぎ)とは、季語と取り合わせた言葉の間の距離感が大きすぎて響き合うところが全くなく、趣きが感じられないという意味です。

≪つきすぎ(即き過ぎ)≫
星冴ゆる風呂屋帰りの味噌ラーメン
星冴ゆ=冬の季語。寒さのため、星の輝きまでもが凍りつきそうなさま。

この種の取り合わせは、誰しもが思いつく在り来たりな取り合わせで、こういう俳句を見せられても、何の感動も覚えないと言ういうわけです

 《離れすぎ》
猪や古都の夕雨田に畑に

「古都の夕雨田に畑に」の中七・座五は良いが、それと「猪」が「はなれすぎ」で、趣を感じないとのことでした。
二物衝撃の効果を狙い過ぎ、あまりに距離感のある季語を取り合わせてしまった。


今回の参加者11名 
兼題 「山」
(1)夏の山鎖の垂るる岩嶮し  まっち
(2)山越えし余花の便りの旅誘ふ
(優秀)
(3)実桜や山の裾野を絵画にす  
夏田
(4)雪解(ゆきげ)川山もようやくお召替え 高橋

(5)風一つ夏めく山から風ひとつ 金時娘

(6)水辺にて山女肴に昼ビール  
紀州人
(7)紫陽花の麓を過ぎて山煙る  
谷口
(8)山みやげ筍飯に祖母にじむ  ケイタ

(9)頂や胡瓜まるごと配らるる 
みなみ
(10)富士山を入れて撮ってと夏帽子 吉野

(11)心地よき麦の秋風山の尾根  佐々木

当季雑詠
(12)江ノ電の海へふくらむ夕日かな 吉野
(13)藤づるの棚よりこぼれ走り梅雨 夏田(優秀)
(14)風喰らふ天へ遡上の鯉のぼり金時娘(最優秀)
(15)朝靄やこの河越える蝶いずこ  
谷口
(16)子の恋に若き日想ふ春うらら  
(17)人の世の災禍を知らず夏燕 みなみ
(18)迎え梅雨傘を忘れず晴れの日も 
佐々木
(19)トップクリエイター天道虫だまし
高橋
(20)花菖蒲朝陽を浴びて露の玉   まっち

(21)洗えども流せぬ恋と梅雨の空 ケイタ
(22)抱き上げて母また軽し春行けり  
(23)母の日は愛した小花に新茶添え紀州人

(24)黒南風(くろはえ)や寝転んで聞く鳥の声
みなみ(優秀)
(25)明け急ぐ夜の短かさ身も疲る  夏田
(26)梅雨寒のリーダーなき国夏もなし  紀州人

(27)月下美人真夜中に舞う香残し まっち

(28)鞄にも皺が重なり五月病  
ケイタ
(29)月蝕や闇に歓喜の童かな 谷口

(30)卯の花を卯月の花と間違えり
佐々木
(31) 再延長見えぬ出口に青嵐  
高橋
(32)うっすらと口びるに汗の晶子の忌  
吉野
(33)地球儀が捨てられしまま夏に入る 
金時娘
   

☆麦の秋 麦がたわわに黄金色の穂をつける麦にとっての「秋」の季節。. それは梅雨入りもせまるつかの間の乾燥期、夏の季語

☆余花 夏になって若葉の中に咲き残る桜の花をいう。寒い地域や高い山などに見られる。立夏前の桜は残花、立夏後は余花になる

☆黒南風 (くろはえ)は、梅雨のどんよりとした暗い長雨のころに吹く南風の湿ったもののことをいいます。

 

予告 第九回アマチュール句会  日時:2021年6月20日 15時から
《兼題》・・・蛍・・・ 蛍狩り

  この季語を使った句を一句

  NHKの俳句番組でやっている基本パターンです 

《当季雑詠》 ……二句 

《選句》…天の句を一句(2点)プラス四句(1点)、全部で五句選んでください。

  自作はマナーとして、選ばない。たとえ、自作が一番だと思っても、他作句を選びます。

後記:まっち
今回の兼題は「山」でした。私は登山で苦しかった事ばかりが浮かんで、現実的な俳句になり何ともつまらない句を詠んでしまいました。当季雑詠の花菖蒲は朝歩いて浮かんだ句で、月下美人は夜中に花が開くのを見て感激した思いを詠みました。先生から「つきすぎ」「はなれすぎ」と言う言葉を教わり気が付いた事がありました。これを踏まえて又挑戦してみたいと思います。冨川先生、皆様方1時間20分の楽しい時間を有難うございました。

 

 

             


第七回Zoom句会アマチュール 2021年4月18日(日) 15時から実施しました。

今回の参加者11名 
兼題 「昭和」
(1)昭和より老化知らずの鯉のぼり  ケイタ
(2)夏近し昭和の聖火令和に繋ぐ  
紀州人
(3)ゆきゆきて桜新道昭和橋  
谷口
(4)青春は昭和と共に春逝けり 
まっち
(5)卒寿の春昭和を生きし母の皴 青  

(6)団塊はみな昭和の子花は葉に  
みなみ
(7)古き良き昭和の月日朧かな  
高橋
(8)あの日見た昭和の祭典万国旗  吉野

(9)遠き日に春爛漫やあふる夢 
夏田
(10)昭和の夢散りて流れて花筏(いかだ) 金時娘(優秀)

(11)油風昭和の輪廻懐かし  佐々木

当季雑詠
(12)春蝉よ命のかぎり鳴き叫べ  紀州人
(13)蒲公英見る粉(こ)ふきたる子の膝小僧  
(14)落花する飛花落葉に自然の理 高橋
(15)フキノトウどこのお山に咲いてたの  
谷口
(16)花冷や駅前本屋閉店す  みなみ
(17)パソコンの窓からさがす春の風 金時娘
(18)ほろ酔いの夜風にかおる木瓜の花 
佐々木(最優秀)
(19)花冷えの疵つき易きふくらはぎ  
吉野
(20)の宵古希を迎えし祝い膳  
夏田
(21)万愚説好きだと言われ咲かぬ恋  ケイタ
(22)災厄の終はりは見えず竹の秋  みなみ
(23)花吹雪舞い散る先に夢舞台  
紀州人
(24)待ち人や春の時雨に佇んで
まっち(優秀)
(25)火葬場で見上げた先に残花あり  高橋
(26)花吹雪あおぐ大空燦燦と 
まっち
(27)花水木清(さや)かに咲きし君想う 
夏田
(28)花楓猫の墓前に落つる雨  
谷口
(29)春愁や声掛けられず見送る背 

(30)風拾う素足の下に桜花 
金時娘
(31) 花衣今年も着れぬコロナ禍よ  
佐々木
(32)種蒔いて趣味の小部屋ふやしをり  
吉野
(33)車窓から滲む東京蜃気楼 
ケイタ

一口コメント 俳句は挨拶から

松尾芭蕉の時代から、俳句は挨拶を第一にして作られる物だったのです。

この頃の俳句は、俳諧連歌の発句(最初の句)にあたる部分に該当します。 そして、発句はイコール挨拶句でもあります。 句会の場所で、招かれた客が主に対して挨拶として発句を作り、主が発句の句柄に対

応した脇句(第二句)を返します。 例として、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の途中、最上川のほとりにある「一栄・高野

平右衛門」宅の句会に招かれたときの「発句」と「脇句」を掲載します。

●発句 さみだれをあつめてすずしもがみ川 芭蕉

●脇句 岸にほたるを繋ぐ舟杭 一栄

この句会が開かれたのは、六月上旬の暑い時期で、芭蕉は旅の疲れを癒してくれた最上川の涼しさに感謝し、この景色を一望できる一栄宅を賛美しました。 これに対して、一栄は「いやいや我が家など、蛍を繋ぐための舟杭にすぎませんよ」と謙遜して答えています。 蛍とは芭蕉のことを指しており、解釈すると、「江戸の巨匠である芭蕉殿をお招きするために用意した家のようなものです」と、芭蕉を歓迎する意味になります。 たった、これだけの短い言葉のやりとりの中に、これだけの暗喩と意味を盛り込むとは、巨匠たちのやりとりは、さすがですね。

桜新道 品川区の道、道に潤いをと考えた付近の人々が、道の両側に桜の木を植えたので いつとはなく桜新道と呼ばれるようになった。
☆花楓 楓の花. 晩春. 花楓/ もみぢ咲く. 楓は一般に言うモミジのことでカエデ科のカ エデ属の落葉高木の 総称である。 花は晩春に新葉とともに開く。
☆竹の秋 晩春の季語 ふつうの樹木は秋に紅葉(黄葉)するが、竹は春に黄変する。こ れを、竹の秋という。筍に栄養分を費やすためである。逆に、秋には、筍が一人前の竹と なり、若葉を茂らせる
☆花筏 散った桜の花びらが水面に浮き、それらが連なって流れていく様子のこと です。 その花びらの動く様子を筏( いかだ) に見立てた言葉といわれます
☆油風 晩春四月頃、晴天の日に吹くおだやかな南風。東海道、近畿、中国地方、瀬戸内海 一帯の船人に使われる地方風の呼び名
☆万愚節 四月馬鹿の日 April fool's day ともいい,11 月1 日の 万聖節(ハロウィン) に

後記:まっち
今回の兼題は「昭和」でした。私は昭和の戦中に生まれ、戦後を見ながら青春時代、結婚、子育てと人生の大半は昭和でした。それから平成・令和となりましたが思い出は回り灯籠のように昭和が出て来ます。それで「青春は昭和と共に春逝けり」とすぐ詠みました。今回もズームの入力に少し手間取りましたが、何時になったら皆様方と足並みが揃って出来るのでしょうか。冨川先生、皆様方どうぞ宜しくお願いします。楽しく勉強をさせて頂いた1時間20分でした。有難うございました。
写真は石南花(シャクナゲ)です




第六回Zoom句会アマチュール 2021年3月28日(日) 実施しました。

今回の参加者11名 
兼題 「五輪」


(1)冴返る繋ぐ聖火に希望燃ゆ  
(2)五つの輪つながらぬまま春愁う  
金時娘
(3)さくらさくら五輪の夏に夢つなげ 
紀州人
(4)涅槃西風(ねはんにし)花一つ受く五輪塔 
谷口
(5)聖火燃え心踊りし青春五輪 
吉野
(6)頂に五輪のマーク山笑ふ 
みなみ
(7)盛夏まつ五輪開催五里霧中  
まっち
(8)鉢巻に五輪をかけた依田郁子 
夏田
(9)五輪の火掲げる走者斑(はだれ)雪 
高橋(最優秀)
(10)観潮(かんちょう)に願いをたくす五輪の和  
佐々木
(11)地こすりも今は昔の夏季五輪  
ケイタ

当季雑詠


(12)桜東風君を想うやかざぐるま まっち 
(13)肩寄せて枝垂れ桜の夕べかな 
夏田
(14)こんな事嬉しいなんて風光る 
吉野
(15)春昼の眼科やさしき人ばかり 
みなみ
(16)老いの春猫の手借りて庭いじり  
紀州人(優秀)
(17)青き踏む事もできずに過ぎし時 
高橋
(18)幾年(いくとせ)や春一番と歌はれし 
佐々木
(19)地球儀にゴミのシールや春かなし 
金時娘
(20)逝きし友桜下にありて声を聴く 
谷口(優秀)
(21)春北風(はるならい)に背を押され行く朝の駅 

(22)ホームから見送る母に忘れ雪 
ケイタ
(23)桜月定年を迎えふと詫び  
夏田
(24)花粉症音も立てずに来たりけり  
吉野
(25)催花雨(さいかう)に喜び悲しみ乱れ落つ  
紀州人
(26)繋ぐ手の温もり見上ぐ吾子の笑み  

(27)車窓にて移ろう景色山笑う 
まっち
(28)渋滞のイライラ癒す鼓草 
ケイタ
(29)祖を想い百花を添えた墓ぬくし 
高橋(優秀
(30)花落つる流れにまかせ鳥雲に 
谷口
(31)流氷や一夜に去るはまぼろしき  
佐々木
(32)春燈やコーヒーすこし濃く淹れて 
みなみ
(33)コロナ過に一人の花見酒が沁む 
金時娘

参考
催花雨(さいかう)の意味は? 催花雨とは、開花を促すような雨のこと。 桜をはじめ、いろいろな花を催す。
涅槃西風(ねはんにし)涅槃会「陰暦二月十五日」はお釈迦様の入滅の日にあたり、この頃に吹く風の事をいう。
     美しい響きからも西方浄土が想象される季語である。時期的には春の彼岸前後にあたり、一般的に浄土か
     らの迎え風などとも言われる。
春北風(はるならい)低気圧の影響で一時的に西高東低の冬型気圧配置に戻り、冷たい北西風が雪を伴って吹く。
   一時的に季節の戻りを感じるもの                            
春昼 春の真昼をいう。明るく暖かく閑かなものである。
忘れ雪(わすれゆき) 春を迎えてから、その冬最後のに降る雪のこと。「雪の別れ」「雪の果て」「雪の名残」なども同じ
斑雪 三春 はだら/はだれ雪/はだら雪/まだら雪/はだれ野/斑雪山 降り積もった雪が消え残りまだらになった状態。
春愁う、春思、春怨、春かなし、春の恨み、春におぼえる愁いをいう。特別な理由がある愁いではない。
    花が咲き鳥が囀る季節ではあるが、ふとしたことで心がくもるのも春ならではのこと
地こすり 山の積雪が、春暖の候になって下から解けはじめ、積雪が全体として山腹を崩れ落ちる現象
鳥雲 小鳥が群がり飛び、遠くから見ると雲のように見えること。

 後記:
今回の兼題は「五輪」でした。私はすぐに五輪塔でいこうと思いましたが、なかなか詠めずにオリンピックの五輪にしました。
当季雑詠は大好きな人に手作りの、缶で作った風車を頂きました。庭に吊して毎日眺めています。残しておきたい句です。
新しいスマホに変えて10日目でしたので、zoomの操作にまごついて又々迷惑を掛けてしまいました。これに懲りずに冨川先生、
皆さん方宜しくお願いします。今日も又勉強させて頂き有難うございました。次回を楽しみにしています。


写真はシャガです。



第五回Zoom句会アマチュール  2021年2月21日(日) 実施しました。

― 兼題は再び写真になりました―

宝塚の写真ですが、写真からの連想で、 舞台、けれん、あこがれ、化け物……何でも自由な連想をお願いします。





今回の参加者11名 
兼題(上記)写真
(1)大階段けれんみ輝き華ひらく 吉野
(2)トップたり夢を背負いて初稽古 
ケイタ
(3)雪月花満天の宇宙星舞台 
まっち(優秀)
(4)春興の一日暮れて一人かな みなみ
(5)春歌や名曲美声華の舞 
紀州人 
(6)霙降る出待ちの列に傘のなし
   
(7)花雪や腿たかくあげ春隣  
谷口
(8)春暑し麗(うる)しき乙女夢舞台 
夏田
(9)すみれ咲く楽しき甘き君知りぬ 金時娘
(10)宝塚夢の世界よ桃源郷 佐々木
(11)百年の道に連なる山茱萸(さんしゅゆ)や 
高橋

当季雑詠
(12)満開の異人館街風見鶏 
まっち
(13)鱈水菜踊る豆腐の四温かな  
谷口
(14)亡き母の童女(わらめ)の笑顔桃の花 
佐々木(最優秀)
(15)コンビニの跡地ひろびろ春の鳥 
みなみ
(16)三寒に耐えて四温を待ち望む 高橋
(17)呼びあいて小鳥はしゃぐや春まつ木  
吉野
(18)バスを待つ背をまるめて春寒し 
夏田
(19)旅すれど梅の香のなしオンライン 
 
(20)一年を生きた喜びおでん酒 
ケイタ
(21)観潮の九十九里浜砂街道 紀州人
(22)白い梅廃墟の庭に捨てた鉢 
金時娘
(23)春昼(しゅんちゅう)やあまき香りに足止まり 
佐々木(優秀)
(24)
屋根を打つ雨水(うすい)のリズム春感受 
高橋
(25)木々の葉の裏をさらして春嵐 
夏田
(26)花鳥やめぐる季節のたのもしき 
みなみ
(27)立春に丹沢連峰白雲母 まっち
(28)恋猫がベランダにジュリエット 
金時娘
(29)高千穂に古人(いにしえびと)訪ね春立ちぬ 
紀州人
(30)去年今年閉ず老舗の戸雨滲みて 

(31)会ひたくて逢ひたくて纏う春ショール 
吉野
(32)シクラメン垂れる頭や冬旱(ひでり)   
谷口(優秀)
(33)水鳥をやさしく抱く湖面かな 
ケイタ


参考
春暑し/はるあつし) 春の汗. 仲春或いは晩春、好天に気.温が高い状況
観潮(かんちょう) 春の季節を示す 渦潮を観ること
山茱萸、ミズキ科の落葉小高木。葉が出る前に黄色い花を咲かせ。別名でハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミ 。季語は春。


後記:まっち
今回はZoomで入りましたが途中私の映像が消えてしまいました。音声はつながっていましたのでそのまま続けました。
兼題の方は選句の点が散らばったようです。当季雑詠は佐々木さんの句が入りました。皆さんにこ迷惑を掛けましたが、
これからも宜しくお願いします。冨川先生・皆さん次回を楽しみにしています。
(河津桜)



第四回Zoom句会アマチュール  2021年1月24日(日) 実施   

今回の兼題は「ミャンマーの托鉢の写真」で一句です。托鉢 (たくはつ、 サンスクリット :pindapata)とは、 仏教 や ジャイ
ナ教 を含む古代 インド 宗教 の 出家者 の 修行 形態の1つで、 信者 の家々を巡り、生活に必要な最低限の食糧などを乞う
(門付け)街を歩きながら(連行)又は街の辻に立つ(辻立ち)により、信者に 功徳 を積ませる修行。

                   



  
今回の参加者11名  
兼題(上記)写真
(1) 春風や竪琴の音背に歩む僧 紀州人
(2) 御降
(おさがり)や平和を祈る修行僧 
佐々木(優秀)
(3) ランドセル托鉢のぞく冬晴れに 
まっち
(4) 異教の地聞こえてきそう竪琴が 
吉野 
(5) 喜捨の音にビクリともせず経を読む 
谷口
(6) 一列の托鉢僧に小正月 
金時娘
(7) 行乞の村の道にも淑気かな 
みなみ
(8) 辻に立つ僧の跣足に色気立つ 

(9) 冬の陽に身をまとう袈裟あふる徳 
夏田
(10) この道を迷わず行けば日脚伸ぶ 
高橋
(11)年の瀬もお布施少なく不況かな 
ケイタ                              
当季雑詠
(12) コロナ禍と気持ちがゆれる初詣 
佐々木
(13) 亡き夫(つま)の年越え迎ふお正月 

(14) たなびけば野焼きする人かげ黒く 
まっち
(15) 賀状戻る旧友浄土へ旅立ちぬ 紀州人
(16) ふるさとの畦道濡らす寒の雨 
高橋
(17) 往生は雪降る町で菩提薩婆訶(ボジソワカ)
金時娘(最優秀
(18) 牡蠣蕎麦の磯の香りに海の音 
ケイタ
(19) 亡き母の好きなふじやま雪帽子 
吉野

(20) 亡くなりし友より賀状寒昴 みなみ
(21) 木蓮や山茶花時雨に打たれ待つ 
谷口
(22) 初詣で寅さんも来ず団子かう 
吉野
(23) コロナ禍で戸惑うなかれ受験生 
夏田
(24) 正月にタスキをかけて夢つなぐ 
佐々木
(25) 去年今年動かぬままに鐘は鳴る 
ケイタ(優秀)
(26) 寒椿花弁一つを欠いて咲き 
金時娘
(27) お年玉岩倉紙幣笑みがます 
夏田
(28) 初暦日々是好日(よきひ)願いつつ 紀州人
(29) 福袋愛しき真子の笑顔あり 
まっち
(30) 行く道と思へど襁褓(むつき)買ふ師走 

(31) 読初の菊池寛作「マスク」かな 
みなみ
(32) 巣ごもりて曜日を問うや老夫婦 
谷口
(33) どすこいにコロナ逃げてく初場所 
高橋


参考
御降(おさがり)……元旦~3日に降る雨のこと、恵みを感じる新年の季語
淑気(しゅくき)……新年の季語、瑞祥の空気を感じるということ

菩提薩婆訶(ボジソワカ)……般若心経の一番最後
去年今年(こぞことし)……新年の季語
襁褓(むつき)……おむつ(御襁褓)
読初(よみそめ)……新年の季語 

後記:まっち
今回は私のzoomのトラブルがあり途中参加となりましたが、1時間30分程の時間を難しい言葉を理解して、俳句を詠むと言う事、とて
も勉強になりました。次回を楽しみに日々精進してまいります。冨川先生、皆さん有り難うございました。  
 (写真は万両です)



第三回Zoom句会アマチュール :2020年12月20日 (日) 実施

今回の参加者11名     
兼題は「鬼」
(1)賀正の鬼朝風呂入り肝休め(気も休め) 
夏田
(2) 咳すると鬼の形相コロナ禍
  高橋
(3)年の瀬に安寧をこめ鬼は外  
佐々木
(4)冬コロナ滅ぼさんと鬼マスク 紀州人
(5)遠き冬妹とはしゃいだ鬼ごっこ  吉野
(6)摘みとりて鬼に金棒枇杷の花  谷口
(7)ベランダの鬼灯枯れて雨しとど  
(8)鬼門封じなるぞ実南天ここに  みなみ
(9)念じたる鬼を仏にどんど焼き  金時娘
(10)コロナ禍に鬼滅の刃冬の虹 
まっち
(11)夜焚火に鬼火をさがす喪中かな  ケイタ

当季雑詠

(12)粉雪が湯けむりに消ゆ草津かな  夏田
(13)  短日や仏間の母の影長し  
(優秀)
(14)孫来たる蜜柑食べてる音違う  
ケイタ
(15)大掃除今年もはしょる師走かな  佐々木
(16)手酌酒晦日の鐘を一人聞く 
金時娘(優秀)
(17)凩や香の冷えたる墓参り 
谷口
(18)はやぶさ2宇宙の土産冬の雲  まっち
(19)旅鞄つひに出さずよ日記果つ  
みなみ
(20)患う友回復祈り賀状書く 紀州人
(21)こんな事あるはずないのに冬花火 
吉野
(22)悠悠とアメ横歩く12月  
高橋
(23)白菜も一玉多い帰省鍋  ケイタ
(24)背に頬の温もり凍つ夜の二人乗り   
(25)幼な子の色とりどりに枯葉舞う  谷口
(26)満月や冬枯れの森煌々と  まっち
(27)浮遊する柚子を隨にもう冬至  高橋
(28)除夜の鐘コロナよ消えろ煩悩も 
佐々木
(29)木枯らしの銀杏舞い散る通勤路  夏田
(30)ロンドンも疫禍のなかに漱石忌 
みなみ(優秀)
(31)寒き日石焼芋の声暖届く 紀州人
(32)食事会白いマフラーきつく巻  吉野
(33)雪見酒小言繰言世迷言 
金時娘(最優秀)

後記:まっち
今回はzoomのグループビデオになりましたので、当日全員揃うのに50分程かかりましたが無事に出来ました。
2時間程でしたが楽しかったです。
次回はプレバトに対抗するそうです。Zoomの操作は初めてなので教えて下さいました友人に感謝します。
皆さんありがとうございました。





第二回line句会アマチュール  2020年11月22日 (日) 実施
今回の参加者8名  

兼題は「隠」   
(1)葉隠れで魔除け厄除け柊の花 
紀州人
(2)母の背に隠れて秋の初登園  

(3)末枯(うらが)れて暖取る野猫見え隠れ 
高橋(優秀
(4)
戸隠の蕎麦をたべつつ忍者村  佐々木
(5)隠れてもすぐに芽が出る貝割菜   ケイタ
(6)落ち葉掻く隠れた虫があわて出す 
まっち
(7)黄落や想い隠して遠回り  吉野
(8)行く秋に来し方笑う隠居かな  
金時娘
(9)隠し湯の紅葉の山にありにけり 
みなみ
(10) 照紅葉子ら頬染めしかくれんぼ   
谷口 

当季雑詠
(11)  黄朽葉のじゅうたん踏みし老夫婦 まっち
(12)落ち葉分けすくすく育つぶなしめじ 
ケイタ
(13)こんな事うれしいなんて星月夜  吉野
(優秀)
(14) カラカラと冬に誘(いざな)う 落葉風  
高橋
(15)辛い日々夢舞い戻る冬紅葉   紀州人

(16)恋に病み死に損なうて女郎花(おみなえし) 金時娘
(優秀)
(17)かさかさと笑む幼児の落葉かな  
谷口
(18)眼科出て空の青さよ冬ぬくし 
みなみ 
(19)虫時雨ラジオの声の遠ざかる  
谷口
(20)雲場池水面に映える紅葉かな   佐々木
(21)朝寒や焼き立て香るパン屋の灯  
(22)初恋をふと思い出す野菊かな  ケイタ
(23)
とりどりのマスク泳ぐ酉の市  みなみ(最優秀
(24) 
小鳥来る便りなき子に荷を造る  
(25)湯布院のそぞろ歩きに秋の空  佐々木
(26)リハビリで登りし4階白き富士  吉野
(27)
くらやみのひとり鉄棒寒い朝  まっち
(28)担々麺体ぽかぽか息白し  紀州人 
(29) 秋高し彼岸の人か白き雲  
金時娘
(30)イナダ鰤ハマチになりて空を飛ぶ   高橋

後記:まっち
今回 は10名になり賑やかでした。1時間15分の間でしたが、少し余裕が出て他の句も詠めるようになりました。
次回が楽しみです。皆さんありがとうございました。

  


 
  
第一回lineアマチュール句会 :2020年10月25日 (日)  実施
今回の参加者8名 
 
兼題「素 」 
(1)片隅に一本の素麺夏名残り 金時娘
(2)冬近し赤らむ脚の素敵女子 
高橋
(3)ひとり酒素秋の月に妻の顔 紀州人(優秀)
(4)ありがとう素直に言へる秋日和 

(5)素揚げして卓までもたず銀杏や 
みなみ
(6)味の素万能だねと笑う母 
佐々木
(7)秋日和素懐(
そかい)をとげる句入門 まっち
(優秀)
(8)コロナ渦で桜並木も素の自分 ケイタ

当季雑詠

(9)物干しの髪耳にかけ秋の風 林

(10)学生街あの店いずこ秋の夕暮 紀州人
(11)  名月や定年の日に父撫でる  ケイタ
(12)初雪や喜ぶ犬は見当たらず  佐々木
(13)お互ひに詫びる久闊栗ごはん みなみ
(14)夜明け前鴨が鳴き出す秋の川  まっち
(15)千百秋(ちおあき)の無縁仏に残り菊 
金時娘 (最優秀)
(16)
ニュースでも季節感なく文化の日 紀州人
(17)満月に遠吠えするはジジイなり  佐々木
(18)秋耕と言へど一周三十歩  みなみ
(19) 新蕎麦を求め列なす秋祭り  高橋
(20)  病院の窓振り返り秋月夜  
(21)
歩を止める紫式部手に取りて  高橋
(22)
裂き織りの素の糸切れし秋の空 まっち
(23)花に飽き心空(あ)きたり秋を厭(あ) 金時娘
(24)柿一口ふるさとの味母の声ケイタ

 

  後記:まっち
1時間の句会でしたが緊 張の中にも楽しい時間で勉強になりました。皆さんありがとうございました